4年前もクルーズでした。

写真家を目指した頃、本質の写真が撮れる事が夢でした。ラグジュアリーな世界にこそ、大人の本質がある事に気がついた30代。ラグジュアリーにある本質を知りたいとイタリアへ渡った40代。本質を知るからこそラグジュアリーな写真と向き合える50代。今ではラグジュアリーの中にこそ、本質があるのだと思っています。

こんにちは、写真家の冨樂和也(ふらく かずや)です。

楽しかった飛鳥クルーズも今日が最終日。今回のクルーズもとても充実した内容でした。飛鳥Ⅱの素晴らしさは、そのホスピタリティーの完璧さと、洗練された食事の美味しさ。そしてアクティビティーの充実でしょう。さすが日本が誇るラグジュアリー・シップです。今回乗船できたことは本当に幸せでした。ご年配の方の乗船率が高いとのイメージがありますが、それだけサービスが行き届いているので、どの年齢の方でも安心して乗船できるからだと思いました。実際に乗船して気がついたのですが、以外にも若い世代の人が多く乗船していること。中でも幼いお子様を連れた家族が大勢いたことです。子供連れでも安心して楽しめるからでしょうね。特に今回はクラッシックのコンサートを幼い子供を連れていても一緒に楽しむ事ができた事が家族連れの人達の満足感に繋がっていた様です。子供連れで楽しめるコンサートは、ほぼ無いでしょうから飛鳥Ⅱで子供連れで気兼ねなく音楽を楽しめるのは本当に幸せな事だと思います。

たまたまFaceBookの過去記事として、ちょうど4年前の今日もクルーズをしていました。なんと、なんと、地中海でクリスタル・クルーズをしていました。

メンバーは久美子さんと干場くんと私のいつもの三人組

ちょうど「Sette Mari」の2号目の取材でしたね。懐かしい思い出も甦ってきました。当時はクリスタル・クルーズは日本郵船でしたが、現在はゲンティン香港の船になっていますね。

この時停泊したのはバルセロナでした。サグラダ・ファミリアの見学をしたり、グエル公園に行ったりと市内観光を楽しんだかな。地中海クルーズの魅力は毎日寝て起きたら別の国の港に着いている事でしょう。まさにホテルが移動している感覚でしょう。それから波が穏やかで船も滑る様に進む事ですね。

ちょうどこの頃にグエル公園が有料になっていた。

200mmのスナップ写真がいいんです。

普通にスナップ写真というと、標準レンズを考えている人が多いと思う。
もちろん間違ってはいない。
でも、、、

 

それだと面白くない!!

 

1994年頃から2003年頃までの10年間、私はスポーツをメインで撮影していた時期があったのだけれど、スポーツ写真の世界は望遠レンズが主体で撮影をしていて、ある意味望遠レンズは私にとっては標準レンズなんです。

望遠で撮影する競技といえばサッカーや陸上競技ですかね。
400mmという大砲のようなレンズをブンブン振り回してました。
おかげでいつも重い機材を担いでの撮影と移動の連続なので、肩が凝るのなんの。。。
マッサージとは切っても切れない縁。
おかげで今も定期的なメンテナンスは必須な体です。(゚д゚lll)

そういえば、長玉の砲列って意外によく見かけるよね。

オリンピックの放送でガンガン並んでいるでところが映されるでしょ?あれですあれ。
実はその光景はスポーツだけではなく、ファッションの世界でも見ることができるんです。
それが世界各国で行われるファッションショー。
私はミラノに住んでいたので、ミラノファッションウィークでNazionale della Moda Italiana(通称=ミラノコレクション)によく取材で撮影に行ってたから、各ブランドのコレクションを着たモデルのウォーキングをやはり400mmとか70-200mmなんかを使って撮影していました。

とはいえ、さすがに400mmは街中でスナップ撮影に使うには大きすぎて悪目立ちしちゃうから、LEONのミラノオヤジのスナップのような感じで撮影に使ったとしても70-200mmの200mm付近。
200mmの長さがあれば十分に引き寄せ効果で背景を丁度良くボカシながら被写体を素敵に見せることができるし、取り回しもいいから是非使ってもらいたい。
できれば開放F値の明るいものが威力を発揮するから持っているレンズで一番明るいものがベストかな。

Nazionale della Moda Italiana



世界的に有名な編集長

前回までの投稿で、スナップ撮影って動きが大切なんだということがわかっていただけたかと思う。
じゃあ動かないシチュエーションは必要ないかっていうと、そういうわけではないですよ。
実際に撮影していると、動かないものを撮影することが多いのではないかな?

ミラノに在住の頃にLEONのオヤジスナップを撮っていたことは前にお話ししましたが、男性誌だけじゃなく、この頃女性誌の撮影依頼も次第に受ける様になりました。
女性誌の撮影方法はLEONのオヤジスナップとは違って被写体になっていただけるミラネーゼに完全に止まってもらい、ディテールの分かる様に全体の写真とパーツ写真を撮ることが多かったのですが、中でも小学館の「Domani」の仕事の際はファッションウィーク(Nazionale della Moda Italiana)期間中に世界中のファッション・エディターやモデルを撮影したり、来場しているファッショナブルな女性の方々を撮影する事がありました。
ショーをいくつも駆け回りつつ、気になるショップ取材や展示会、各ブランドが主催する食事会などなど、とにかく朝から晩まで忙しく移動と撮影を繰り返す楽しくもめちゃめちゃ忙しい撮影です。

ここで大きなミス!

2006年のことだったかな?CFカードを入れたケースを移動している途中で落としてしまう大きなミス。(; ゚д゚)
あまりのショックに心臓が止まるかと思いましたが、正直に謝って編集者の方にCFカードを落としてしまった事を伝えました。
不幸中の幸いというか撮影したデータは休憩中にパソコンに取り込んでいたので、今まで撮影したものには影響は無かったのですが、残りはカメラ2台に残った4GBのCFカード2枚で、これだけではこの先の撮影が心もとない。
真っ青な顔をした私を見て気の毒に思ったのか、編集者の方が仕方がないので取材の途中ではあるのだけれど、CFカードを一緒に買いに行ってくれることに。
ただ、当時のCFカードの値段ってめちゃくちゃ高かったんですよ。_| ̄|○
そんなダメダメな私に本当に優しい心遣いを編集者の方がしてくださいました。
なんと、4GBのCFカードを2枚も買ってくれたんです。
いや、マジで、なんと言ってお礼を言っても言い尽くせない感謝でいっぱいでした。

本当に”安○な○”さん「ありがとうございます!!!!」
あの時は本当に嬉しかったです!!


すみません。
込み上げてくるものが。。。(T ^ T)
皆さんもメモリーカードの取り扱いは十分に注意しましょうね。

チャンスは逃すな。
有名人にも果敢にアタック!

またまた話がずれているので、肝心な撮影の話に戻します。
そういえば何度かあったDomaniのミラノ取材の時に小学館現女性メディア局コンテンツビジネス室編集長「福田葉子さん」(前Domani編集長)もいらっしゃった事があったな。
なんだか懐かしいです。
そしてその時だったか、TOD’SのLunch付きの特設展示会で世界的にも有名なアメリカ版「VOGUE」編集長の「Anna Wintourさん」とTOD’Sオーナーの「Diego Della Valle氏」が食事をしていたので、撮影しても良いか突撃。
玉砕覚悟だったのですが、無事こちらを向いていただけるとことに成功。

それが今日の一枚です。

黙って撮るのは失礼、というか今の時代やっちゃダメダメ。
だから何事も失敗を恐れずチャレンジすれば気持ちが通じることもあるのです。
声がけの重要さがわかったかな?

TOD’S Lunch

人物のスナップに必要な要素 - 動感とは? –

スナップで大切なのは光の使い方だけで良いのか?
そんなはずはありません!
光の使い方は要素の一つなので、当然それ以外にスナップに必要な要素も沢山あるのです。

実は日本でスポーツ系の写真家を10年ほどやってたのだけれど、イタリアへ渡る直前まではAFLOという会社に所属しいて、オリンピックやサッカーW杯などの国際大会に行くたびに様々な国々で、スポーツ以外の街スナップなんかをよく撮影していたので、いつしかスナップ写真が自身のライフ写真のテーマになっていました。
私のスナップ撮影方法はスポーツ撮影のようにスピード重視で、ドンドン移動しながらガシガシ撮影。
だから1日2万歩なんて当たり前で、毎日クタクタでせっかく観たミュージカル「レ・ミゼラブル」で1幕の大半を寝落ちする始末。(( _ _ ))..zzzZZ
(2幕は目覚めてしっかり観れたけど。。。)

そんなこんなでスナップ写真には並々ならぬ思いがあるのです!!

2016年1月に銀座のソニービル(現在は銀座ソニーパーク)にてニューヨークをスナップした写真展『New² York』は2フロアを使った展示で、約150点の作品を展示したのだけれど、写真展にするために撮影が終わるまで2年かかりましたが、実際の撮影期間はトータルで10日間(1年に5日間づつ)と短かったけど、凝縮して撮影した枚数は約2,000枚。
もしかすると撮影枚数が少ないんじゃない?って思ってます?
重要なのは量よりも質だから、写真展の構成を考えながら撮影をすれば2,000枚は十分な枚数なんですよ。

テーマを持って撮影に臨むのが肝心

イタリアに住んでいた頃に旅行誌などで色々な場所を撮影して回っていたので、頭の中に構成がドンドン浮かんでくるので、ニューヨークの時は最初の1年目にとにかく歩き回って目につく限りマンハッタンやブルックリンの色々な場所を撮影して、2年目は今まで撮影したものに何が足りないのか?必要な要素は何か?更に撮り増したい場所は何処か?をという事を考えて、撮影するといった感じでした。
沢山のシーンが欲しいから、滞在中はほぼ毎朝夜明け前からマンハッタンを望めるブルックリンブリッジ近くで撮影を始め、夜の街並みも撮影していました。
毎日同じ朝にはならないし、同じ夜もないからスナップ写真を撮るのって体力勝負!実はとても大変なんです!
(長くなるので、この辺の話しはまた改めて詳しく書きます。)

動感を持たせる

話が逸れちゃったから戻しますね。
タイトルで書いている「動感」っていうのは自分が動きながら撮影する事!!っていうのは冗談で、被写体に動いてもらい撮影する事。
当然ただ動く被写体を普通に静止画の様な感じで写しても意味はないから、動きが感じるように写さないとね。
動感を持たせる撮影方法は、スポーツ撮影をしていた時によく使っていた手なんだけれど、ファッション・スナップの場合は何処をどう歩いてもらうかなどちゃんと打ち合わせてイメージを持たせる事が必要で、具体的になればなるほど撮影がしやすくなるから人物でのスナップを考えている人は動感を取り入れる事を試して欲しい。

少し足がブレるくらいに写す事で動感が生まれる。
これが生きているスナップだ!

ここで注意するべき点は顔はブラさない事。
その方が被写体が浮き出てくるし、差し込む光が無い時などはこの方法が役立つので覚えておくと便利ですよ。

Via Montenapoleone Milano

「スナップ」ってなに?

スナップ写真は「ただ撮ればいいんでしょ!」って思っているあなた!

それは大きな間違いです!

じゃあどう撮ればいいのでしょう?

そんな疑問を解決するように、勝手に「スナップ塾」を始めます。




まずは一番得意な「ファッション・スナップ」からスタートです。

私がミラノに住み始めたのは2003年。
ちょうどその頃にあの超有名なメンズ誌「LEON」がイタリア男の写真を載せることになって、色々な巡り合わせから私に白羽の矢がぶっ立ったのはいいのだけれど、残念な事にイタリア語が全く出来きない。。。_| ̄|○ ダメじゃん!!!!


では、なぜイタリア語が出来なきゃダメだったかって???

今までのスナップ写真って、綺麗な着こなしをしている人に声をかけて立ち止まったところをスナップして、ディテールなんかも抑えていくってな感じの写真だったわけです。

だからまず立ち止まらせるには声をかける必要があったのだけど、当時のおいらにそんな勇気などなくて、テスト撮影の時にとりあえず望遠レンズでパパラッチ風にイタリア男をスナップして編集部に送ったところ「この感じいいね!」ってなったのだけれど、仕事として紙面に載せるためには、結局名前聞いたり写真を雑誌掲載の許可も聞かなきゃいけないから、結果的には一所懸命にイタリア語を勉強するためにミラノで語学学校に通いましたよ。だって仕事に繋がらなかったら困るのは自分だからね。(笑)

とにかく必死に頑張ったから「LEON」のミラノ・スナップが始まったのです。




今日の一枚

「一番大切なのは光の使い方」



ここに写っている男性は、現在「FORZA STYLE」編集長の「干場義雅」氏です。

(もちろんホッシーに写真使用の許可をいただいています)

実は先ほど話したテスト撮影でテストで撮ったミラノ・スナップは現在の「LEON」編集長の「石井洋」氏が当時の担当編集者で、彼に私の写真を気に入ってもらったのがきっかけでした。
実際にミラノで会った時に「雰囲気があるし、光の使い方が好き」なぁーんて言われて、今でもハッキリ覚えているくらい本当に嬉しかった!

まあ、その時の写真はポジフィルムで撮影して納めちゃったから手元に無くて見せる事はできないけれど、ちょうどこのホッシーを撮った写真がその時の写真の光に感じが似ていたので、最初の一枚はこれに決定!!



ちなみにホッシーとは彼が「LEON」の編集をやっていた時からの付き合いで、ミラノ・スナップだけじゃなく、ミラノでお買い物の企画やミラノ・ファッションウィークなんかでもご一緒する感じで、以来日本に戻ってからも色々とお世話になってたりします。

さて、「今日の一枚」の話しだけれど、この写真はホッシーと地中海クルーズに行った時に「LEON」スナップ風に撮影した一枚なんだよね。

モナコのカジノ広場に面したCafé de Paris Monte-Carloでお茶をしている時に光の感じが素敵だったので、ホッシーにお願いしてCasino de Monte-Carloの前から歩いてもらい、ちょうど光の中に入ったところでシャッターを切りました。
とはいえ、ただ歩いただけでは何も面白くないので、彼の横になる位置なんだけど、車道を挟んだ向こう側の歩道に美しい女性が歩いているという架空のシチュエーションにしてもらい、「なんとなく見とれているといった態で横を向きながら真っ直ぐ歩いてきてね」という打ち合わせをしてから撮影に臨んだのがこの「今日の一枚」です。



1、できる限り自然に見えるように撮影をするには事前の打ち合わせが必要。

2、かっこよく写すには場所の選択で雰囲気を演出。

3、光をどのように使うか。(一番大切な要素)



この写真の場合は逆光が建物から漏れてくる事で被写体のエッジが立ち画面がグッと引き締まるし、空気の透明感も増して洋服を綺麗に見せる効果もある。
例えば光の無い日陰の部分で撮影していたらきっと被写体は背景に溶け込んでしまい、つまらない写真になってしまっただろう。

だから、光が一番大切なんです。

現「FORZA STYLE」編集長の干場義雅 in Monte Carlo